地方の墓じまいについて
- 高齢化社会と遺族の減少：日本は急速な高齢化社会で、少子化も進んでいます。大分県も11年連続（2023年6月10日現在）赤ちゃん最小を更新しました。一方、大分県の死亡者数は増加しています（2022年は1万6265人）。このように、大分県でも、お墓を維持・管理する家族や親戚が不足しています。遺族が少ないまたはいない場合、墓地の維持管理が困難になり、墓じまいを検討するケースが増えています。
- コストの問題：墓地の維持・管理には相応の費用が必要です。石碑の清掃、草刈り、年間の墓地使用料などがそれにあたります。また、都市部では土地の価格が高く、新たな墓地を設けるコストは増大する一方です。
- 価値観の変化：近年では、個々の価値観やライフスタイルが多様化し、伝統的な家族墓ではなく自然葬や海洋散骨を選ぶ人々も増えてきています。
遺骨整理とは？
「遺骨整理」とは、遺骨が収められているお墓を撤去解体し、中にある遺骨を新たに移動またはまとめる行為を指します。墓じまいを行う際には、遺骨を新たな場所に移すための遺骨整理が必要になります。遺骨を移動する際には、適切な方法と敬意をもって行う必要があります。仏教であれば、魂抜き（閉眼供養）といわれ、お墓の引越し（改葬）や、リフォーム、墓じまいなどに伴ってお墓から遺骨を取り出す際に、お墓に宿っている故人の魂を抜き取るための儀式（お経）を行います。 宗派によっては「脱魂式」や「抜魂式」と呼ばれることもあります。魂抜きが行われたあと、遺骨を取り出しお墓の解体を始めます。
問題は、お墓の中にあるご遺骨の行き先です。新しいお墓（樹木葬など）や納骨堂を購入して引越し（改葬）という選択もありますが、いま多くの方に選ばれているのは、昔ながらの自然葬。遺骨を自然に還す選択です。
海洋散骨が選ばれる理由
墓じまいから海洋散骨が選ばれる理由は、以下のようなものが考えられます。
維持管理の手間と費用: 新しい墓地にも定期的な管理や手入れが必要で、これには手間と費用がかかります。特に都市部では墓地の維持費用が高く、それが負担となることがあります。海洋散骨なら、維持管理の必要がなくなるため、この負担を軽減できます。
家族の散在: 現代社会では、家族が地理的に離れて生活することが増えています。そのため、一か所の墓地を訪れることが困難な場合があります。海洋散骨なら、遺族全員が集まって散骨を行うことができ、その後は特定の場所を訪れる必要がないため、家族の散在問題を緩和できます。
自然への回帰: 海洋散骨は、自然への敬意や回帰という思いを形にする方法として選ばれることがあります。自然の一部になるという概念は、多くの人々にとって魅力的なもので、自然環境への影響も少ないとされています。
新しい価値観とライフスタイル: 価値観やライフスタイルの多様化に伴い、伝統的な埋葬方法にとらわれず、自分らしい形で故人を偲びたいという人々が増えています。海洋散骨はその一例で、故人の遺志や生き方を反映する選択肢として選ばれることがあります。
