「死」をどう子どもに伝えるか——親にとってこれは難しいテーマです。
家族の誰かが亡くなったとき、大人でも気持ちの整理が難しいのに、子どもにとって「死」はもっと抽象的で理解しにくいもの。そんなときに、海洋散骨という自然葬は、子どもが“死を怖がらず、自然の一部として受け止める”手助けとなります。
大分県国東市に住む男性からのご依頼で、6歳の男の子が両親と一緒に祖父の海洋散骨に立ち会ったことがありました。代行ではなく、ご家族7人で船に乗って見送ったお別れの時間。そのとき男の子が口にしたのは、
「おじいちゃん、海にいるんやな」
という言葉でした。
この言葉は、家族全員の心をほぐしました。形ある「お墓」がなくても、子どもなりに「自然と一体になった祖父」の姿をイメージできたのです。
散骨という自然葬は、「手を合わせる場所がなくなる」不安よりも、「どこにいてもつながっている」安心感を与えてくれます。特に子どもにとっては、“海に行けば会える”というイメージが、愛する人を失うショックを和らげる力になります。
死を“終わり”ではなく、“つながり方の変化”として伝えることができる。それが、海洋散骨がもつグリーフケアの可能性です。