まるっと終活大分支援協会には、終活にまつわる様々なご相談やお問い合わせをいただきます。近ごろは、相続に関する問い合わせやご質問も増えています。そこで今回は、「別居中の夫の相続」についてのご質問にお答えします。老後や相続のことについては、元気なうちに考えて、行動に移しておくことが重要です。ぜひ参考にしてみてください。

Q.長年、夫の女性関係に悩まされてきました。現在別居中ですが、相続について不安があります。
結婚20年。子どもにも恵まれ、夫も私も「仲の良い夫婦」を演じてきました。けれど実は、夫の奔放な女性関係について悩んできました。
私としては、「夫の女性関係も、ただの“遊び”」だと思い、我慢してきたのですが…。夫が職場の女性と深い関係が続いていることを知ったときはどうしても我慢できず、ケンカが絶えない状態になりました。
子どもにとってもよくないと思い、今は別居しています。
互いの両親も健在で、離婚となると親にも心配をかけると思うので…。世間体もあって、夫も私も、離婚の意思はありません。
ただ、夫が暮らす部屋に、交際中の女性が通っている様子なのです。子どものことを考えると、将来の夫の相続について心配してしまいます。
A.別居中の夫の相続について解説します。
夫と別居していると、相続に関してさまざまな疑問や不安が生じることがあります。法律上、別居中であっても婚姻関係が続いている限り、配偶者としての相続権は基本的に変わりません。しかし、状況によっては権利が制限されたり、トラブルに発展したりする可能性もあります。
別居中の夫が亡くなった場合の相続について詳しく解説します。
1. 別居中でも配偶者の相続権はある?
婚姻関係が存続している限り、別居していても法律上の「配偶者」として扱われ、相続権を持ちます。具体的な相続割合は以下の通りです。
夫に子供がいる場合:妻(あなた)と子供で遺産を分け合う。配偶者の相続割合は1/2。
夫に子供がいない場合:親が生存している場合、妻が2/3、親が1/3。
夫に子供も親もいない場合:兄弟姉妹が相続人となり、妻が3/4、兄弟姉妹が1/4。
※ただし、夫が遺言を残していた場合は、その内容が優先されます。
2. 別居中の夫が遺言を残していた場合
夫が生前に「妻には財産を渡さない」といった遺言を残していた場合、相続権はどうなるのでしょうか?
遺留分の請求が可能
遺言があったとしても、配偶者には最低限の取り分(遺留分)が保証されています。遺留分の割合は、法定相続分の1/2です。
例)遺産が1,000万円で子供がいる場合、あなたの法定相続分は500万円。その半分の250万円は遺留分として請求できます。
遺留分を請求するには、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与・遺贈を知ったときから1年以内に「遺留分侵害額請求」を行う必要があります。
3. 離婚調停・裁判中だった場合の相続は?
離婚調停や裁判中であっても、離婚が成立する前に夫が亡くなれば、相続権は維持されます。しかし、夫側の親族から相続を巡って争われるケースもあるため、法的手続きを検討することが重要です。
4. 別居中の夫が不倫・再婚を考えていた場合
夫が不倫していたり、新しいパートナーとの再婚を考えていた場合、相続に影響が出ることもあります。
不倫相手との間に子供がいた場合:その子供も法定相続人になるため、あなたと子どもの取り分が減る可能性があります。
終活や相続、墓じまい、海洋散骨のご依頼は当協会まで
別居中でも婚姻関係が続いている限り、配偶者としての相続権は認められます。ただし、状況によっては遺留分の請求や相続放棄を考える必要もあります。トラブルを防ぐためにも、早めに専門家に相談するのがおすすめです。
終活を、「いつかやればいい」と先延ばしにすると、あなたの意思が実現できなかったり、思わぬトラブルに発展することもあります。人生100年時代、元気なうちにご自身の老後や死後のことについても考えておくことが大切です。そして、終活で重要なのが、お墓と供養の問題です。近ごろは、墓じまいに着手する方も増えています。また、自然や環境、遺族にも優しい海洋散骨を検討する方も増えています。
墓じまいや海洋散骨についての相談は当協会にお気軽にお問合せください。