「墓じまい」は、もはや一部の家庭だけの問題ではありません。現在、国や自治体もこのテーマに注目し、さまざまな対策や啓発活動を行っています。
ではなぜ、国が「墓じまい」を促進しようとしているのでしょうか?その背景には、社会構造の変化と、それに伴う公共的課題が深く関係しています。
■ 空き家問題ならぬ「空き墓問題」
全国的に少子高齢化が進み、「お墓を継ぐ人がいない」「遠方に住んでいて管理できない」というケースが急増しています。その結果、全国の霊園や共同墓地では、誰も管理していない「無縁墓」「放置墓」が急増し、景観の悪化や安全面の問題が深刻化しています。
これを空き家問題と同様に“地域の課題”として捉えています。
特に、市営墓地ではこの問題が深刻です。無縁墓を撤去するには、単に墓石を解体して処分するだけでなく、墓内にある遺骨の保管費用や、それに伴う管理費もかかります。
さらに、お墓の承継者がいるかどうかを調査し、連絡を取るにも人件費と時間が必要です。税収が限られるなか、これらに多額の税金が投入されている現状があり、財政負担の観点からも、墓じまいの促進が求められているのです。
つまり、墓じまいを推奨するのは、住民サービスの一環というよりは「安全と財政の維持」という公共的な理由が背景にあります。
■ 墓地を維持するために
墓地は一部の個人所有地を除き、宗教法人や自治体が管理する“公共的な場”です。多くの人が訪れ、故人に手を合わせる場所である一方で、地震などの災害時には安全確保の観点からも整備が求められます。
しかし、放置墓地が増えれば、草木が生い茂り通路を塞ぐ、倒壊の危険がある墓石が増える、といった問題が発生しやすくなります。これに対応するためにも、「維持できない墓は適切に整理していくべきだ」という考えが広がっているのです。
■ 政策として進む「合葬墓」
近年では、少子化や都市部への人口集中に対応し、「継がせない」「持たせない」供養を選ぶ人が増える中、国や自治体が新たな供養スタイルを政策として打ち出していることも、「墓じまい」を後押しする理由の一つです。
■ 負担から“自由”への転換——供養の意識の変化
昭和から平成初期にかけては、「家のお墓を守るのが当たり前」という価値観が主流でした。しかし、現代では「お墓を守れない」「継がせたくない」「家族に負担をかけたくない」と考える人が増えています。
こうした意識の変化を踏まえ、「管理できないなら、閉じる選択もある」と国が公式に認めていることが、墓じまいを後押しするもう一つの大きな理由です。
■ 墓じまいは供養の終わりではない
国が墓じまいを推奨するのは、“無縁墓”を減らすことが目的であり、決して供養を軽視しているわけではありません。
むしろ、「継承できないからこそ、感謝と責任をもって整理する」という選択を支援し、次の世代が供養に悩まなくて済む社会の仕組みを整えようとしているのです。
まるっと終活大分支援協会でも、多くの方が「お墓を閉じることに罪悪感を感じていたけれど、今では肩の荷が下りた」と話されています。
お墓をどうするかで迷っている方は、「国もそう呼びかけている」という事実をひとつの後押しとして、前向きな判断をしてみてはいかがでしょうか?
私たちは、墓じまいを「悲しい終わり」ではなく、「未来へのやさしい準備」として捉えています。ご希望があれば、墓じまい後の供養方法(海洋散骨、手元供養など)も一緒にご提案いたします。
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