弔辞連絡が来て、通夜または葬儀に参列することになると、「失礼がないように」という気持ちがわいてくるものです。
どんな物を準備すれば良いか、焼香やお参りの作法はどうだったか…
これまでに参列した葬儀の記憶をたどってみても、どれが正解なのか分からないまま緊張してしまう人もいるかもしれませんね。
宗派によって、また慣習によって葬儀のマナーは異なります。
しかし、葬儀そのものの大まかな流れは同じですし、一般的なセオリーを押さえておけば、あとは葬儀の式次第にならって良いでしょう。
気を付けなければならないポイントはそう多くはありません。
1:お金に関するマナー 香典袋のこと
故人の宗派が分からない!と心配することはありません。
葬祭場に出向いてから分かるという場合がほとんどでしょう。
とはいえ、不祝儀は葬儀が始まる前にあらかじめ用意しておくべきもの。
市販されている一般的なものは、白黒(または白銀)結び切りの水引不祝儀、白水引の神式、お花料と書かれたキリスト教式の3種類です。
ご霊前・ご香典などと書かれた短冊が一緒に入っているものもあります。
宗派によって適した表書きがありますが、神式は「玉串料」、それ以外は一般的に「御香奠」「御香料」とするのが良いでしょう。
ちなみに、「御霊前」「御仏前」は亡き人に捧げるもので、「御香料」「御香奠」は喪主に宛てて差し上げるものです。
それぞれ意味が異なることも心得ておきましょう。
2:不祝儀袋は「ふくさ」に入れて
新札を香典で使うのはタブーです。
逆によれよれのお札を入れるのも、受け取る人への配慮に欠けるので、きれいめのお札か、または新札に折り目をつける程度にしておきましょう。
これまで葬儀に参列した経験がない(少ない)人は、右も左も分からず戸惑うこともあるでしょう。
日頃から準備をしておくのはなかなか難しいかもしれませんが、葬儀に参列する時は不祝儀袋をむき出しで持ち歩くのではなく、「ふくさ」に包んで持参します。
香典は、喪主や個人への気持ちの表れなので丁寧に扱いましょう。
3:お焼香の作法について
通夜と葬儀の焼香には、線香ではなく刻み香を使用します。
焼香の作法も宗派で異なりますが、基本的な作法は
・数珠を左手に持ち僧侶に合掌礼拝、 遺族に軽く一礼、遺影を仰いで一礼
・右手の親指、人差し指、 中指で香をつまむ
・(香をつまんだ指をおしいただくか喪主や施主の焼香にならって)
・本尊に向かって合掌礼拝、僧侶に軽く一礼して席に戻る
という流れです。
宗派によっておしいだく回数や一例するタイミングは異なります。しかし、細かい部分まで全て知っている人のほうが少ないでしょう。
前に焼香をした参列者を真似るのがベター。ただ、慌てたりおどおどとした様子はおススメしません。粛々と、故人を思い焼香をするという姿勢が大事です。
4:お数珠の扱いについて
本来お数珠は、 人間の煩悩の数を表す108個の玉を連ねた長いものです。直径20 ㎝ほどで一重のものが市販されていますがこれは略式の数珠です。
ただ、最近はこの略式数珠を使う人も増えていますし、略式が失礼というわけでもありません。
数珠は、仏様とのご縁をつなぐ大切な仏具です。数珠袋などに入れて傷がつかないようにしましょう。
数珠の素材はいろいろありますが、釈迦が菩提樹の下で悟りを開いたと言われていることから、菩提樹の実で作られた数珠は特別な意味が込められているという意味で尊ばれるようです。
葬儀場で執り行われる場合は式進行の人が促してくれますし、分からない事は(こっそり)尋ねても問題ありません。大切なのは故人を偲ぶ心です。
あなたならどうする?
あなたは葬儀をする?しない?長生きすればするほど、連れ添った身内や親戚もいなくなり、友人知人も少なくことは想像できるでしょう。身寄りがいなくなって、最後は施設に1人も現実的です。
人の葬式に出て、自分の最後の在り方を準備しておくことも大切です。
直葬、自然葬、海洋散骨、などの選択も知っておくといいですね。
参考サイト・出典 写真AC
フリー写真素材 フォトック
・『永代供養墓の本』六月書房出版 霊園ガイド編集部編集 2015年
・『お坊さんがイチから教える!葬儀・法要・お墓・仏壇のすべて』 主婦の友社出版 現代の葬儀を考える僧侶の会監修 2018年