仏教は、時代の流れの中でいくつかの開祖が誕生し、それぞれの宗派に大別していきました。中でも、日本で檀家が最も多い宗派は浄土真宗と言われています。
平安時代から偉人を含め数多くの住職や修行僧によって繋がれ、人の心の支えとなった仏教の教えは今も語り継がれています。
では、宗派によって違うもの・ことにはどんなことがあるのでしょう。お参りのシーンを例にしてみてみましょう。
お焼香の作法・線香の数は?
信仰している宗派が異なる葬儀や通夜に弔問する時、皆さんが一番気にかかるのが「焼香の仕方と線香の本数」ではないでしょうか。
前の参列者がどんなふうに焼香をしているか、思わず覗いてしまいたくなりますが、あたふたと慌てて偲ぶ空気を壊すのもよくありませんね。
祭壇や仏壇に線香をあげる作法は、宗派によって違います。
「線香は折って寝かせるものだ」と思っている方が多いですが、線香を折るのは絶対的ではありません。
↑これは浄土真宗派。
線香を折るかどうか、、、、それは、斎場や自宅の仏壇だと香炉が小さくて入らないためやむを得ない作法です。
香炉が大きければ折らなくてもいいのです。
そして、天台宗と臨済宗には、特に決まりはありません(1~3本)、真言宗は3本、その他は1本の線香を用いるとされています。浄土真宗以外は、線香は立てるのが基本です。
シーンによって違う服装のマナー
仏教の場合、おおよそ服装のマナーはどの宗派も同じです。ただし、通夜や葬儀、法要などその時々で望ましい服装は違います。
・通夜前、納棺まで
遠く離れた親族や知人が危篤で駆けつける時、またその時、弔問ちょうもん)を受ける側の身内も、この時点では喪服を身に着けずに地味な装いに整えておきます(平服)。
ただ、駆けつけたとはいえカジュアル過ぎる服装は、伺う方も受ける側も相手に失礼になりますので、寒色系の色味やビジネススーツがいいでしょう。
・通夜~告別式の装い
以前は「通夜に喪服をきっちり着ていると準備しているようで失礼」と思われていましたが、現在は通夜から葬儀、告別式までブラックフォーマル(略礼服)で通すのが一般的になってきました。
これも、通夜で弔問に来る方への遺族の心配りであり、参列者が遺族に失礼がないように配慮した流れといえます。
喪主はモーニングコート、女性は和装で…という礼服も最近では少なくなってきましたね。
参列者の男性は、急いでビジネススーツのまま葬儀に向かったとしてもネクタイだけは黒に、ワイシャツは織り模様のない白に着替えましょう。
参列する女性は、日ごろから身に着けているアクセサリーははずし、バッグも皮製ではないものを選びましょう。子どもは出来るだけ黒っぽい装いで。学生は制服が正装になります。
ちなみに、海洋散骨の場合は、周りの人への配慮のため普段着(平服)でお願いしています。また船が揺れて危険な時があるので、必ずスニーカーでの乗船をお願いしています。
参考資料 文献
『葬儀・法要・相続・お墓の事典』著者:浅野まどか 株式会社西東社出版
『お坊さんがイチから教える!葬儀・法要・お墓・仏壇のすべて』監修:現代の葬儀を考える僧侶の会 株式会社主婦の友社発行 2018年
『まんが墓活 それでどうする、うちの墓?』著者:井上ミノル 株式会社140B発行 2019年出版
納骨堂事典『コラム』
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