
―大分県で実際に起きたケースをもとに解説―
大分県では、東南アジア・欧米・中国出身の方との国際結婚が珍しくなくなりました。
しかし、相続の場面では “日本の常識が通じない” ため、県内でもトラブルが発生しています。
今回は、大分県で実際に相談が寄せられた事例を参考に、国際結婚ならではの相続トラブルと、その解決策を解説します。
■事例① 大分市
海外在住の外国籍配偶者が、相続手続きに協力してくれない
●お悩み
大分市に住んでいたAさん(70代男性)が亡くなり、相続人は
• 日本に住む子ども2名
• フィリピン在住の外国籍の妻
日本の相続には、相続人全員の署名や本人確認書類が必要ですが、
海外の妻が手続きの意図を理解できず、半年以上書類が届かない…。
とお悩みでした。
●専門家による解決策
当協会と連携している行政書士が英語で説明書を作成し、
フィリピンの日本領事館で取得できる 署名証明 の取得方法を案内。
さらに国際郵便の手続きも代行。
国際相続の多くは「説明が伝わっていない」のが原因です。
専門家が間に入ると、驚くほどスムーズに進みます。
■事例② 別府市
亡くなった夫の海外資産が放置されていた
●お悩み
別府市在住のBさんの夫(イギリス出身)が亡くなった。
日本での相続手続きは終えたものの、後から
• イギリスに銀行口座
• 年金(State Pension)
• ロンドン郊外のマンション
があることが判明。
「どの国で手続きするべき?日本の遺言は使えるの?」
と家族は大混乱。
海外資産がある場合の流れ
① 日本で死亡
↓
② 海外資産の有無を調査
↓
③ 夫の本国法(イギリス法)を確認
↓
④ 現地専門家(英弁護士)と連携して手続き
●専門家による解説
日本の民法では「相続は被相続人の本国法に従う」と定められています。
今回のケースではイギリス法が適用。
イギリスでは “遺言至上主義” が強く、遺言があればほぼそれに従います。
国をまたぐ相続は、“どの法律が適用されるか” をまず判定することが最重要です。
■事例③ 日田市
日本では相続税を払ったのに、海外でも税金が請求された
●お悩み
日田市のCさんのご主人(豪州出身)が亡くなり、日本の相続税申告を済ませたところ、
後からオーストラリア税務局からも課税の通知が…。
「二重課税になってしまうのでは?」
とご家族は不安に。
日本と海外の税制度の違い
日本 → 被相続人・相続人の住所で判断。海外資産も課税対象。
オーストラリア → 資産の所在国で判断。日本の相続税とは考え方が異なる。
●専門家による解説
日本とオーストラリアでは税制度が根本的に違うため、
資産の種類によっては “両国で課税される可能性” があります。
ただし二重課税防止条約により、
日本側で税額控除を受けられるケースもあります。
「日本で払ったから安心」は国際相続では通用しません。
海外資産がある場合は、税理士・行政書士の連携が必須です。
■トラブルを避けるためのポイント
(大分県内の事例から分かったこと)
① 遺言書は「日本・相手国」両方で通用するか確認する
日本の公正証書遺言でも、国によっては効力が弱い場合があります。
国際結婚の場合は、作成時に必ず専門家へ相談を。
② 海外の資産を“家族が把握できる形”で残す
大分のご相談では、
「海外の銀行口座の存在すら知らなかった」
というケースが非常に多いです。
③ 専門家と連携するのが最善策
国際相続は
• 書類は外国語
• 手続きは国ごとに違う
• 税金も別制度
のため、“1人の専門家だけ” では限界があります。
国際相続に慣れた事務所は、海外専門家とのネットワークを持っています。
これが解決までのスピードを大きく左右します。
終活や相続、墓じまい、海洋散骨のご依頼は当協会まで
国際結婚の相続は、大分県でも増加傾向にあります。
しかし、
• 法律の違い
• 言語の壁
• 海外手続きの複雑さ
などにより、相続が長期化するケースが多発しています。
大切なのは、
✔ 早めの準備
✔ 適切な専門家への相談
✔ 海外資産の情報共有
これらを整えておくことで、
国際結婚特有の相続トラブルを未然に防ぐことができます。
そのほか、終活についてお悩みがあれば、当協会にお気軽にお問合せください。ご本人やご家族の気持ちに寄り添った終活の形をご提案します。

