大分県別府市にある500年以上の歴史を持つ浄土真宗系の古刹で墓じまいを行いました。
私たちは、生涯の中で多くの重要な決断を経験しますが、「お墓じまい」はその中でも特に感慨深く、勇気のいる決断と言えるでしょう。
大分県別府市にある寺院墓地で、特別なお墓の解体撤去作業を行いました。この地には、代々続く一族の由緒あるお墓が鎮座しています。依頼者は、高齢の女性でした。依頼者には兄弟姉妹が居たのですが、兄弟姉妹は依頼者より先に旅立ち、子供がおらずいつのまにか依頼者1人が父の遺産を引き継いで実家に住んでいたそうです。依頼者以外の一族が絶えたことから墓じまいの決断をしたそうです。
墓じまいのお墓は、通常のお墓とは異なり、お墓の地下深くにカロートが存在し、それを覆うように地下でコンクリートで囲われていました。まずは、お寺で閉眼供養を行ってもらい、解体作業へ。墓石を解体していくと、その下に遺骨が保管されているカロートが現れました。そこから慎重に遺骨を取り出し、次の段階(地下のコンクリートをはつり(斫り)作業)へと進みました。
私たちの仕事は、家族や一族の歴史をしっかりと受け止め、新たな形で故人を偲ぶ手助けをすること。今回の作業も、その一つとして心を込めて行いました。
面倒を見る人がいなくなれば「無縁墓」となります。火葬文化になるまで、私たちは土葬で弔われてきたので、先祖墓というのはありませんでした。供養は仏壇でしていたからです。戦後、火葬がすすみ、お墓の中に火葬された骨壺を納める部屋が作られ、代々の遺骨を納めるようになりました。
今回のお墓は、カロートから13個の遺骨が出来ました。こちらを洗骨して、乾燥、粉骨、そして代行で海洋散骨をとり行いました。
遺骨整理に自然葬(海洋散骨)が注目されています。
別府市のこの古いお寺の中で、時代とともに変わる家族の形や価値観を感じつつ、新しい時代に合わせてお墓を整える作業を行うことは、非常に意義深いものでした。