遺骨を自然の巡りに還す 海洋散骨の良さとは?
死んでしまった後にどうなるのか…。想像したことはありますか。
自分の亡き骸はきっと、通夜と葬儀を執り行った後になんらかの形で法要されるだろう、と何となく想像できるかもしれません。
しかし、あなたの生命がこの世から断たれた後の手続きや決め事、法要にメンテナンスなどなど、その後数十年にわたって自分の遺骨に関わる”誰か”が不可欠となります。
その”誰か”を、生前のうちにあなたの意思で決めておきませんか。
自然回帰 生命を循環させる海洋散骨
先祖代々継がれている家墓があると、なんとなく「自分もこの墓に入るのか」と思い込みがちです。
しかし、子どもに継がせることに申し訳なさを感じたり、老朽化した家墓の維持に不安を感じていたり、お墓に関する悩みを抱いているとしたら、ここを節目に弔いの方法を考えてみるのも良いでしょう。
家墓があるからそこに入らねばならないという決まりはありません。お墓という容(かたち)にとらわれない『自然葬』に今、注目が集まっています。
自然葬とは、文字通り「自分の遺骨を自然に還す」方法です。
なかでも、海・陸に遺骨をまくことで自然に還る散骨といった方法がよく知られています。
自然葬は花や木々にかこまれて永遠に巡るための方法
人の命は、木や花と同じように自然界の中で育まれ、そしていつかは、朽ちていきます。
とかく人は、自分たち人間を手厚く葬って祖先を丁寧に扱おうとしますが、例えば野に咲く花々は、一度キレイな姿で咲いたあとに、次の世代を残すために種を飛ばしたり落としたりして土に還ります。そこでまた、新しい芽が顔をだし、次の世界に生まれ生きようとします。
山に生息する大木も、もとは小さな種子が芽吹いて何十年もかけて成長したものです。
命というものはこうして巡っていきます。大地に宿り、そこから新たな生命体として生まれ変わるものです。
人も、自然の中の節理に任せて土に還り、新たな生命の元となる永遠の「自然回帰」という形で没後の身をゆだねるのが自然葬です。戦前まで、私たち日本人は「土葬」でした。つまり、土に還る埋葬をされていたのです。そして戦後70年が過ぎ、いま自然回帰が注目されているのです。
墓守トラブルを解消して誰もが穏やかに
海洋散骨のいいところは、世界中どこにいても、そこに海があれば供養ができるということです。海に行けば、きっと穏やかな気持ちになることでしょう。
お墓の手入れが出来ない時間が長くなると、先祖を粗末にしているような罪悪感を抱いてしまうのです。自然葬なら、残された遺族もそんな後ろめたさを感じることもなく、心穏やかに安心して過ごすことができるでしょう。
現世にいる遺族みんなが平穏に過ごせることが、何よりの先祖供養ではないでしょうか。