「主人は怒ると思います。でも、私は義母とは一緒に眠りたくないんです」
そう話してくださったのは、大分市にお住まいの女性でした。まるっと終活大分支援協会で、海洋散骨の生前予約をされた方です。ご主人が嫌いなわけではありません。ただ、ご主人の家のお墓には入りたくない。その理由には、嫁として何十年も生きてきた女性の、長い時間がありました。
「私は、ずっとおしんだったの」
お話を伺っている途中、女性が私に尋ねました。「あなた、『おしん』って知ってる?」そして、少し笑いながら続けました。「私はね、ずっとおしんだったの」嫁として家族に気を遣い、言いたいことがあっても飲み込む。義母との関係で傷つくことがあっても、家族のために我慢する。ご主人に相談しても、「悪気はないんだから」「昔の人だから」と言われ、自分の気持ちを理解してもらえないこともあったそうです。女性は義母を責めたいわけではありませんでした。「義母にも義母の時代があったと思う。全部を恨んでいるわけではないんです」それでも、何十年も積み重なった記憶は消えません。そして、いつしか心の中で決めていました。
「死んだ後まで、嫁でいたくない」
夫にとっては「母」、妻にとっては「義母」
ご主人にとって、義母は自分を育ててくれた大切な母親です。一方、妻にとっては義母です。同じ人でも、立場が違えば、見えてきた姿や積み重ねてきた関係は違います。「主人に話したら、自分の母親を否定されたと思って怒るでしょうね」女性自身も、それをよく分かっていました。
だからこそ、長い間、本当の気持ちを胸の中にしまっていたのかもしれません。
「海なら、誰の嫁でもないでしょう」

海洋散骨についてお話ししていると、女性の表情が少し変わりました。そして、こんな言葉が出てきました。
「海なら、誰の嫁でもないでしょう」
とても印象に残った言葉です。女性にとって海洋散骨は、単に「お墓を持たない」という選択ではありませんでした。嫁として、妻として、家の人間としてではなく、最後は一人の自分として海へ還りたい。そんな願いだったのだと思います。
「海を見たときに、私のことを思い出してくれたら、それでいいんです」
お墓がなくても、故人を思うことはできます。手を合わせることも、語りかけることもできます。大切なのは、どこに遺骨があるかだけではなく、亡くなった人との対話を続けることではないでしょうか。
大分市でも「自分のお墓をどうするか」は生前に考えられます
女性はもう一つ、大切なことを話してくださいました。「子どもには、私と同じようなことで悩ませたくないんです」誰がお墓を守るのか。誰が管理するのか。将来、誰が墓じまいをするのか。自分が亡くなった後に子どもへ判断を委ねるのではなく、元気なうちに自分の希望を決めておく。そのために女性は、海洋散骨の生前予約を選びました。
生前に自分の希望を家族へ伝えておくことは、残される家族が迷わないための終活でもあります。
「私はもう十分頑張ったと思うんです」
お話の最後に、女性はこう言いました。「主人には悪いと思っています。でも、私はもう十分頑張ったと思うんです」義実家のお墓に入らないことが、家族を否定することとは限りません。お墓に入りたい人もいれば、海へ還りたい人もいます。大切なのは、「普通はこうするものだから」ではなく、自分自身がどうしたいのかを元気なうちに考え、家族と話しておくことです。ずっと「嫁」として家族を支えてきた女性が、人生の最後に選んだのは、広い海でした。
「主人には悪いけど、私は義母とは一緒に眠りたくないの」
その言葉の奥にあったのは、誰かへの憎しみではありません。最後くらいは、自分で自分の行き先を決めたい。そんな静かな決意でした。
まとめ|自分の最期を、自分で考えてみる
まるっと終活大分支援協会では、大分市をはじめ大分県内外から、海洋散骨や墓じまい、生前の終活についてさまざまなご相談をいただいています。「夫と同じお墓に入りたくない」「子どもにお墓を残したくない」「自分は海へ還りたい」思いは様々です。
まだ具体的に決めていなくても構いません。
自分らしい最期について考え始めたときは、お気軽にご相談ください。
よくある質問
Q. 夫婦で別々のお墓や供養方法を選ぶことはできますか?
はい。夫婦だから必ず同じお墓に入らなければならないという決まりはありません。それぞれの希望に応じた方法を検討できます。
Q. 生前に海洋散骨を予約できますか?
はい。当協会では海洋散骨の生前相談・生前予約を承っています。ご本人の希望を事前に形にしておくことで、ご家族が判断に迷うことを減らすことにもつながります。
Q. 海洋散骨をすると、お参りする場所がなくなりませんか?
海を見ながら故人を思う方、ご自宅で写真や位牌に手を合わせる方など、供養の形はさまざまです。ご家族に合った方法を生前に話し合っておくことをおすすめします。

