
近年、大分県内でも再婚家庭が増えています。
再婚相手の連れ子と一緒に暮らすケースも珍しくありません。
ところが、いざ相続の場面になると、「実子と連れ子の扱いが違う」という現実に驚く人が少なくないのです。
今回は、そんな“血縁関係の有無”による相続の違いを分かりやすく解説します。
【Case1】父が亡くなったあと、連れ子には相続権がなかった
大分市在住のHさん(50代女性)は、父の再婚相手の連れ子と長年家族として暮らしてきました。
食卓を囲み、旅行にも行き、「きょぅだい」として仲良くしてきたのに、父が亡くなったときに知った衝撃の事実。
それは――「連れ子には法定相続権がない」ということ。
父と再婚相手の間に“養子縁組”がされていなかったため、法律上の親子関係が認められず、相続人には含まれませんでした。
結果として、実子であるHさんのみが相続人となり、連れ子には一切の遺産が渡らなかったのです。
「父は連れ子のこともわが子のように思っていたのに…」
Hさんは、その現実に心を痛めたと話します。
解説:実子と連れ子の相続の違い
法律上の親子関係があるかどうかで、相続権の有無が決まります。
| 区分 | 法律上の親子関係 | 相続権 |
| 実子 | あり(出生によって自動的に) | あり |
| 連れ子(養子縁組なし) | なし | なし |
| 連れ子(養子縁組あり) | あり | あり |
つまり、再婚相手の連れ子に相続権を与えたい場合は、「養子縁組」をしておく必要があります。
養子縁組をすると、実子と同じ法定相続人となり、同等の権利を持つようになります。
【Case2】養子縁組をしていたおかげで円満相続に
別府市のKさん(70代男性)は、再婚後、妻の連れ子を正式に養子にしました。
その後、自宅や預金を遺す際にも、養子が正式な相続人となり、実子と同じ割合で相続することができました。
「もし養子縁組をしていなかったら、相続のときに家族関係が壊れていたかもしれません」とKさん。
法律の手続きをきちんと行うことが、家族の“絆”を守ることにつながったといいます。
遺言書で「連れ子に財産を遺す」こともできる
もし養子縁組が難しい場合は、遺言書で財産を遺す意思を明確にしておく方法もあります。
遺言書があれば、法定相続人以外の人(=連れ子)にも財産を贈与することが可能です。
ただし、他の相続人には「遺留分」という最低限の取り分があるため、全財産を自由に遺すことはできません。
そのため、専門家に相談して、バランスの取れた内容に整えることが大切です。
当協会にも相談が増加中
当協会でも、「連れ子に財産を遺したい」「再婚後の相続を整理したい」という相談が増えています。
実際の対応としては、
- 養子縁組の手続きサポート
- 遺言書の作成支援
- 相続人の確認と登記の整理
など、家族ごとの事情に合わせたアドバイスを行っています。
終活や相続、墓じまい、海洋散骨のご依頼は当協会まで
実子と連れ子では、法律上の親子関係がなければ相続権が発生しません。
「家族同然に暮らしているから大丈夫」と思っていても、法律上は別の扱いになることがあります。
連れ子に財産を遺したい場合は、
- 養子縁組をする
- 遺言書で意思を明記する
このどちらかの方法で備えておくことが重要です。
家族の形が多様化する今だからこそ、“想いをきちんと形にする相続対策”を早めに進めておきましょう。
そのほか、終活についてお悩みがあれば、当協会にお気軽にお問合せください。ご本人やご家族の気持ちに寄り添った終活の形をご提案します。

