「私、一人きりなんです。お墓を引き継ぐ人がいないんです」
そんなお電話から始まったのは、津久見市にお住まいの80代女性からのご依頼でした。
お寺の敷地内にあるご先祖のお墓。そこには3柱のご遺骨が納められていました。
「お寺には感謝してる。でも、もう守ってくれる人もいないし、これから先のことを考えると、今のうちに整理しておきたいんです」
そう話されたその声には、不安ではなく、凛とした覚悟が感じられました。
■ 墓じまいと、海洋散骨の選択
ご相談いただいたのは、「墓じまい」と「海洋散骨」を同時に進める内容でした。
- 墓石の中に納められていた3柱の遺骨を取り出し、
- 粉骨を施した後、
- 海へ自然に還す。
ご自身で“完結させる終活”としての決断でした。
ご本人は、「お墓は誰も継げない。だったら、私の代で感謝を込めて終わらせたい」とおっしゃっていました。
■ お寺からの遺骨引き取りと、散骨までの流れ
ご高齢のため、ご自分で動くことは難しく、当協会のスタッフが直接お寺まで伺い、3つの骨壺を丁寧に引き取らせていただきました。
その後、適切な乾燥処理(1壺あたり11,000円)を施し、海洋散骨へ。
費用は以下の通り:
- 散骨費用:66,000円 × 3柱=198,000円
- 乾燥費用:11,000円 × 3柱=33,000円
- 合計:231,000円(税込)
■ 自然に還すという安心
「私のように、誰にも頼れない人はたくさんいると思うんです」
そう語られた言葉には、ご自身だけでなく、同じ境遇の誰かを思う優しさも滲んでいました。
「海に還せば、もう誰にも迷惑をかけなくて済む。自然に帰るって、すごく穏やかなことだと思うんです。私も海に還りたいし。」
その声は、とても静かで、とても力強く感じられました。
■ 供養の原点に立ち返る選択
遺骨をどうするか、どこに還すか。
それは物理的な問題であると同時に、心の問題でもあります。
「もう誰もいないから」ではなく、
「誰もいないからこそ、私がやる」——
それが、たった一人で行う終活の尊さであり、覚悟ではないでしょうか。
3柱のご遺骨は、大分の海へ静かに、穏やかに還りました。
“お墓を閉じる”という選択には、たくさんの決意と愛が込められています。
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