「弟は“捨てたらバチが当たる”と言った」——仏壇処分に立ちはだかる“兄弟の気持ちの差”
仏壇処分の相談で、実はとても多いのが「兄弟で意見が割れている」という声です。
「私はもう仏壇を残しても意味がないと思っているのに、弟が“絶対に処分してはいけない”という」
親の死後、実家の片づけをめぐって兄弟姉妹でぶつかることは多くありますが、なかでも仏壇は、“気持ちのズレ”が最も顕在化する場所なのです。
■ 信仰心より、“思い込み”が温度差を生む
兄弟間の意見の違いには、「信仰心の差」というよりも、「親の想いへの解釈の違い」が影響していることがほとんどです。
・親は大事にしていたから、自分たちも引き継ぐべき ・仏壇を捨てるとご先祖に失礼になる ・処分すると“祟り”があるかもしれない
こうした“思い込み”や“聞きかじりの知識”が、仏壇処分の前に立ちはだかります。
一方で、現実的に考える兄はこう言います。
・誰も引き継がないのに、仏壇だけ残しても仕方ない ・自分たちの子どもに負担をかけたくない ・信仰よりも、生活を整えることを優先したい
兄は弟にこう尋ねました。
「じゃあ、私(兄)の代わりに、あなた(弟)がこの仏壇を引き継いでくれますか?」
その問いに、弟はしばらく黙ったあと、こう言いました。
「……それは無理だ。じゃあ反対はしない」
この価値観のズレは、どちらかが「間違っている」という話ではありません。
■ 対立しないための“視点のずらし方”
仏壇処分で兄弟と意見が対立したとき、大切なのは「正しさ」で押し切ろうとしないことです。
・形式より気持ちを大切にしたい ・感謝の気持ちを込めて手放したい ・自分の心が納得する供養のかたちを選びたい
このように、“手放す側の覚悟”や“感謝の意志”を言葉にして共有することで、相手の気持ちも少しずつ和らいでいくことがあります。
■ 「自分だけが動いている」というストレス
もうひとつ大きな悩みは、「兄弟の誰も動いてくれない」という状況です。
仏壇の管理、実家の整理、費用の負担——それらの責任がひとりに集中してしまうことで、ストレスや不公平感が生まれやすくなります。
仏壇処分は、物理的な整理であると同時に、「家族の関係性の象徴」にもなり得るのです。
だからこそ、必要なのは「手続きの話」ではなく「気持ちの話」—— 互いの立場と感情を、じっくり言葉にすることが、穏やかな解決への第一歩です。
■ まとめ
仏壇処分は、「家庭内の供養観の違い」と正面から向き合う機会でもあります。
兄弟で意見が食い違うのは当たり前。 けれど、その違いを否定するのではなく、認め合う中で新しい供養の形を見つけることができるはずです。
正しさではなく、やさしさで向き合う。 それが、これからの時代の“仏壇の片づけ方”なのかもしれません。
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