自然葬とは、火葬した後の遺骨を粉末状にして土に埋めたり、海洋に散骨したりして自然に還す埋葬の方法です。一見、いま話題の樹木葬も自然葬の1つと思われがちですが、多くの樹木葬は「骨壺」に入れた遺骨をシンボルツリーと呼ばれる木の回りに空間を作り骨壺ごと納められる埋葬方法で、自然に還ることはないので注意が必要です。
大分で自然葬が選ばれるようになった背景には、いくつかの要素が関わっています。
- 地方社会の高齢化と人口減少: 大分県でも高齢化が進むとともに、墓地の建立や維持管理が課題となってきました。また、核家族化や単身世帯の増加などにより、伝統的な墓地の維持が難しくなるケースもあります。自然葬はこれらの問題を解決する選択肢「お墓を持たない選択」として注目されています。
- 価値観の多様化: 今日の社会では、個々の価値観や生活スタイルの多様性が認識されています。その中で、自分自身や家族の意志に合った埋葬(お墓)を選びたいという考え方が広がっています。生まれた場所でそのまま一生を過ごす人が少なくなったので、お墓を建てても受け継ぐことが難しい時代です。自然葬はその一環として、自然と一体となることを望む人々に選ばれています。海が大好きだった、山が好き、自然が好きという人に注目されています。
- 宗教観の変化: 現代社会では、宗教的な枠組みから離れ、個人的な信念を重視する人々が増えています。昔ながらの伝統的な自然葬は、多くの人に人間の生と死を考える機会を提供しています。
これらの社会的な変化とともに、自然葬はますます受け入れられるようになり、多様な形式が提供されています。
自然葬の考え方は新しいものではありません。古代の人々は自然や地球への深い敬意を表現するため、遺体を自然に返すさまざまな方法を用いていました。日本では大部分が「土葬=個人墓」でした。
自然葬の普及には、墓地問題や核家族化、移住や高齢化などの社会状況が背景にありますが、生活の中で自然と接する機会が減った現代人にとって、自然葬は自然とのつながりを再認識するきっかけにもなっています。
近年では、自然葬の種類も増え、選択肢も広がりつつあります。それぞれの個人や家族が自身の価値観に基づいて選べるようになり、多様な自然葬が認知され、選ばれるようになっています。
ここ大分では、私たちが執り行う「海洋散骨」と、お寺が管理する「土に還る自然葬」の2つの自然葬があります。選択肢の1つとして「自然葬」を考えてくれたらと思います。
私たちは自然葬を執り行う有志の団体です。お気軽にご相談ください。