大分県でも「自分の代で墓をたたんで、遺骨を自然に還したい」と考えている方が増えてきています。墓の管理が大変なこともあって、子どもたちに迷惑をかけたくないという思いから墓じまいを選択しているのです。
そんな中で近年注目を集めているのが、海洋散骨。
従来のように○○家として葬儀を行って遺骨を代々の墓に納めるのではなく、昔のように自然へと還す方法です。しかし海洋散骨は従来の葬送と違うこともあり、どのようなものなのか知らない方が多いのも実状です。
そこで今回は、海洋散骨を支援している一般社団法人まるっと終活大分支援教会が、海洋散骨について詳しく解説します。自分の代で墓をたたもうと考えている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
海洋散骨とは?
海洋散骨とは、文字通り遺骨を海洋に散布する葬送のことです。主に故人が死後は海に還りたいと希望していた場合に利用されていました。
しかし時代の変化と共に近年はその考え方が変わりつつあり、お墓を持たない選択肢として注目を集めています。
- 大好きな海に還りたい
- お墓を守ってくれる人がいない
- 子どもに負担をかけたくない
- 自宅供養している遺骨がある
- 墓じまいして自然に還したい
以上の理由から海洋散骨は選ばれています。少子化と都市部への人口流出により、お墓の管理がなかなかできない時代になったことも少なからず影響していると言えるでしょう。
環境への意識が高い人の中には、自然を切り開いて墓地を作るよりエコと考える人もいます。
海洋散骨は故人を自然に還すという古来から続く葬法の1つです。そのため価値観の変化によって自然と注目を集めるようになった方法とも言えます。
海洋散骨の特徴
海洋散骨には良く行われている葬法とは違った特徴があります。海洋散骨を行ううえで、以下の4つは特に重要です。
- 散骨する
- 墓標がない
- 手元に遺骨を残せる
- 希望によってのみ行われる
それぞれどのようなものか具体的に見ていきましょう。
散骨する
海洋散骨では文字通り海へ散骨します。その際、骨は粉末状にするのが通例です。そのため、お墓のように“納骨”とはなりません。
また散骨なので、トラブルの防止や環境保全、安全確保といった観点から、一般社団法人日本海洋散骨教会によってガイドラインが定められています。
- 遺骨の粉末化(1mm~2mm程度)
- 海岸ではなく沖に散骨する(人が立ち入ることができる陸地から1海里(1.852キロ)以上離れる)
- 養魚場・養殖場、航路を避ける
- 自然に還らない副葬品はまかない
- 花を海に手向ける場合はセロハンでまいた花束を禁じ、花びらだけにする
- 参列者の安全確保をする(保険の加入義務など)
- 喪服の着用は避ける(桟橋やマリーナの他の利用者の心情に配慮するため)
墓標がない
海洋散骨には墓標はありません。これは海へ散骨するので埋葬の目印が存在しないためです。
海洋散骨以外の自然葬の場合、例えば樹木葬だと樹木が目印となってくれます。しかし海洋散骨は陸地から1海里以上離れるため、目印が何もありません。
そう言った意味では、世界中どこに居ても、海がお墓の代わりになるのです。
手元に遺骨を残せる
海洋散骨では手元に遺骨を残せないと考えられがちですが、そうでもありません。故人を偲んでいつも一緒に居たいと考える人もいます。
そのような場合は分骨を行いましょう。分骨は、遺骨を保管する方法としてお墓以外に自宅で保管する方法として取られている方法です。手元供養とも呼ばれます。
一部を手元に残しておくことで、いつでも故人を偲んで手を合わせられるわけですね。
手元供養は近年注目を集めている新しい形の供養方法となっています。法律上の問題もありません。
ただし自宅以外で遺骨を2ヶ所以上の場所にわけて保管する場合、埋葬許可証が複数枚必要となり手続きが増えるのがデメリットです。
希望によってのみ行われる
海洋散骨は故人の希望によってのみ行われているケースがほとんどです。しかし近年では、墓守りがいないなどの理由や遺族の考え方の変化によって希望されるケースが増えてきています。
また海洋散骨を行う時期に明確な決まりは設けられていません。故人が無くなって何十年後かに散骨しても大丈夫です。
多くの方が選択しているのは、四十九日の法要や故人の命日などに合わせる形。ただ基本的には遺族がどうしたいかが重要となってくるので、故人が希望していなかった場合は都合の良い日で良いでしょう。
海は四季によって表情を変えるため、海が綺麗な時期に散骨するのもオススメです。
海洋散骨のメリット
海洋散骨にはどのようなメリットがあるのでしょうか。実際に海洋散骨をするなら、メリットとデメリットを知ったうえで判断したいと考えるのは当然です。
まずメリットですが、以下の3つがあります。
- 自然に還れる
- 子孫に負担をかけなくて済む
- 経済的な負担が減る
お墓の管理をされている方なら、負担として感じている部分があるかと思います。それぞれ具体的に見ていきましょう。
自然に還れる
海洋散骨を行うことで自然に還れます。これはお墓に納骨することとは大きく違う海洋散骨ならではのメリットです。
古来より「土に還る」と言われているように、明治時代以前は自然葬が大半でした。私たち日本人が慣れ親しんだ葬法はむしろ自然葬だったのです。
そのため海洋散骨によって自然に還るというのは、今も昔も広く浸透している考え方であり、何ら不思議なものではありません。
子孫に負担をかけなくて済む
子孫に負担をかけなくて済むのも海洋散骨のメリットの1つです。
かつてのように「家」という制度がまだ機能していた時代と違い、子どもが親元を離れて暮らすことは珍しくない時代となっています。
いずれは地元に帰ってくるのだとしても、それまでのお墓の維持や管理といった苦労を子孫にかけるのは心苦しいものです。
海洋散骨をすれば、そうしたお墓の管理に関する負担がなくなります。そのため子孫に負担をかける心配もありません。
以上のことから、自分の代で墓じまいを選択する家庭が増えているのも当然の流れと言えます。
経済的な負担が減る
お墓を維持・管理する場合、どうしてもかかってくるのが経済的な負担です。寺院へのお布施や諸経費、施餓鬼への参加など時間・お金ともに遺族へのしかかってきます。
お墓を新たに建てるとなると、より大きい負担となるでしょう。
しかし海洋散骨の場合、お墓がない上に年忌法要もないため、経済的な負担がほとんどありません。
一部を分骨して手元に残す場合でも、手元供養用の仏壇やミニ骨壺などを使えば費用を抑えられます。
海洋散骨は経済的な負担を減らすのなら非常に良い方法なのです。
海洋散骨のデメリット
海洋散骨のデメリットにももちろん目を向けておかなければなりません。実際に海洋散骨をするなら、以下のデメリットは重要です。
- お墓参りや法要ができない
- どこでも散骨できるわけではない
それぞれ具体的に見ていきましょう。
お墓参りや法要の目印がない
海洋散骨は海に散骨する葬法です。そのためお墓参りや法要となるモノがありません。
お墓参りや年忌法要、仏壇に手を合わせることを故人と今を繋ぐ大切な機会と考えている方だと、海洋散骨をすることでその機会を失ってしまうことになるでしょう。
海洋散骨をした結果、海がお墓のようなものだと感じられるのなら良いのですが、少しでも寂しく感じてしまう場合はもう一度しっかり考えることをオススメします。
もし寂しく感じてしまう場合は、写真や位牌を仏壇代わりにしたり、分骨し手元供養する方法もあります。
どこでも散骨できるわけではない
海洋散骨はどこでもできるわけではありません。先述したようにガイドラインが定められていることに加え、地域によっては許可されていないところもあるからです。
そのため大分市など海洋散骨が許可されている地域で行うようにしましょう。特定の県の海で散骨して欲しいといった希望がある場合、できない可能性があります。
海があるならどこでもできるというわけではないので注意が必要です。
海洋散骨は違法ではない
刑法190条には遺骨の取扱について記載されていますが、2022年8月現在において海洋散骨は違法ではありません。
墓地、埋葬に関する法律においても禁止されているような記述がされていますが、海洋散骨が話題になった当時の厚生省が「土葬を対象としているため対象外である」と表明しています。
もちろん海洋散骨はガイドラインに沿って周囲に迷惑をかけないように行わなければなりません。許可届け出をした専門の事業者に依頼して行えば間違いはありません。
海洋散骨は子孫への負担を減らせる葬法
海洋散骨は文字通り海へと散骨する葬法です。自然に還ることができ、墓じまいなどでも取り入れられています。
分骨によって手元供養もできるため、墓標を残しておきたい方でも安心して利用できます。
少子化が進む現代において、子孫に負担をかけたくない方にとっては考えたい供養の1つでしょう。
しかし海洋散骨は違法ではないものの様々なガイドラインが制定されており、都道府県によってもできるできないが変わってきます。
これらの事から海洋散骨は専門業者に依頼するのが一般的です。
中でも大分市の別府湾は海洋散骨が認められている自治体の1つとなっています。海洋散骨で墓じまいをしたいとお考えの方は、ぜひ一度お気軽に一般社団法人まるっと終活大分支援協会へお問い合わせください。県外からのご依頼も受け付けております。