故郷じまいとは?親の死後に直面する心の壁とその向き合い方 - 大分で海洋散骨 一般社団法人まるっと終活大分支援協会

故郷じまいとは?親の死後に直面する心の壁とその向き合い方

故郷じまいとは?
故郷じまいとは?

故郷とは「親が迎えてくれる場所」

私たちにとって故郷とは、単なる地名や家ではありません。
遠く離れて暮らしていても、両親が笑顔で迎えてくれる「実家」があるからこそ、安心して帰れる場所――それが本当の意味での故郷です。

しかし両親が亡くなり、実家を整理する「実家じまい」を迎えると、帰るべき故郷は物理的に失われます。親のいない実家は、どれほど思い出にあふれていても、次第に「空き家」としての現実がのしかかってくるのです。


実家じまいがもたらす変化

「長男夫婦が実家を継いでいるから大丈夫」と思う人もいるでしょう。ですが現実には、兄夫婦の暮らす家に帰省することに、どこか居心地の悪さを覚え、だんだんと足が遠のくという声をよく聞きます。

同窓会に帰郷しても、実家に泊まるのではなくホテルを取るようになる。そして、やがて同窓会すら足が遠のき、故郷とのつながりが薄れていく……。これは決して珍しい話ではありません。

親の死をきっかけに、故郷そのものが「心の中にしか残らない存在」へと変わっていくのです。


墓じまい・仏壇じまいも直面する課題

親の死後に直面するのは、実家じまいだけではありません。

  • 代を重ねたお墓をどうするのか
  • 誰も住まなくなった家に残る仏壇をどうするのか

こうした現実的な問題に向き合うことを「墓じまい」「仏壇じまい」と呼びます。どちらも、親が元気なうちは先送りにしがちですが、いざ両親が亡くなった後には、子ども世代が避けて通れない課題です。

特に核家族化・少子化が進んだ現代では、「誰が引き継ぐのか」という答えが出せない家庭が増えています。その結果、無縁墓や放置仏壇といった社会問題に発展しているのです。


故郷じまいと心の壁

実家じまい、墓じまい、仏壇じまい――。これらをまとめて「故郷じまい」と言えるでしょう。親の死とともに、私たちは生まれ育った環境そのものと別れを告げることになります。

これは単なる「物理的な整理」ではなく、精神的にも大きな節目です。
「もう親はいない」という現実を突きつけられ、帰るべき場所を失う喪失感と向き合わなければなりません。

しかし、それを乗り越えることで初めて、人は「親のいない世界」を生きる一歩を踏み出せるのです。


海洋散骨という選択

近年、「墓じまい」や「仏壇じまい」と合わせて注目されているのが「海洋散骨」です。

  • 遺骨を自然に還すことで子どもに負担をかけない
  • 海を見れば、どこからでも親を思い出せる
  • お墓の維持管理が不要になる

といった理由から、多くの家庭が選んでいます。

本来、日本の文化では「埋葬と供養は別のもの」でした。昭和30年代に火葬が一般化するまでは、遺骨を残す習慣はなく、人々は土に還し、供養は仏壇や位牌などの形代に向けて行っていたのです。海洋散骨は、この「自然に還す文化」を現代に取り戻す方法とも言えるでしょう。


まとめ:親のいない世界をどう生きるか

両親が亡くなると、私たちは必ず「故郷じまい」という心の壁に直面します。

  • 実家じまいで帰る場所を失う
  • 墓じまいや仏壇じまいで先祖供養の形を変える
  • そして、自分自身もいつか子に同じ課題を残すことになる

だからこそ、元気なうちに準備を始めることが大切です。
海洋散骨や自然葬は、子どもに負担をかけず、親の思いを自然に還す新しい選択肢です。

故郷は、形を失っても心の中に生き続けます。
その想いを次世代にどう伝えていくか――「故郷じまい」を考えることは、自分の人生をより豊かにするきっかけになるのかもしれません。

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