備えとして大切なのは”自分のこれから”を考えること
自分がこの世から居なくなることを想像した事がありますか。
唐突にこんな質問をして驚いた方もいるでしょうね。
「あなたが死ぬ時…なんて失礼な!」と思った人もいるかもしれません。
少し言葉が足りませんでした。そこで、質問を少し変えましょう。
自分がこの世から居なくなるとしたら、家族や親友、大事な人になにか影響がありますか?
病気や震災、事故など痛みのある死に際かどうか、をたずねる質問ではありません。
自分がいなくなる前後に、周囲の人たちになにか影響があるか。ということを一度考えてみましょう。
すると、少し先の、いろんな将来を想像すると思うのです。
自分らしく生きたい人が考えるべきこと
かつては、、、社会の流れにそって、、、
みんなと同じように(人並みに)過ごすことが幸せだ・・・・
という考え多かったように思います。
しかし現代は、世代や性別にかかわらず「人に左右されず自分らしく」と考え行動する人が増えてきました。
自分の尊厳を保ちながら自然体でいたい。
そんな、自分の生き方に関る気持ちを大事にするために、自分の人生で関わる周りの人にも思いを共有して行動しておくことが大事なのです。
人はひとりっきりで生きていくことは出来ません。
自分がこの世から居なくなった後は、近しい人に自分の亡き骸をゆだねることになります。
その1.自分で物事を考えられなくなる場合
医療の発達や衛生面、栄養の摂取が整っている日本人の平均寿命は年々更新されています。
ただ皆が健康な状態とは限りません。
体は動いても正しい判断が出来なくなってしまったり、体が衰退して言葉や行動が十分ではなかったり、認知症になる事も考えられます。
日本には、日常生活で自分に変わって事柄を進めたり決める際、親族が自分を代理する「法定代理」、代理する権利を決めて権限をゆだねる「委任契約」、信頼できる人や弁護士に終生のお世話を委任する「成年後見人」制度などがあります。
自分の判断力がまだ残っているうちに、自分の療養や看護、財産の管理をお願いする代理人を選んでおくなら「任意後見制度」を活用することになります。
手続きや権限の範囲、自分の死後に及ぶ効力など、細かい内容は専門家にしっかりとたずねて、残された人が迷ったり困ったりしないようにしておきましょう。
ライフステージに応じて、人に自分の想いや意思をゆだねる方法を選んでいくということも大事な世の中になったということでしょうね。
その2.死後に関わる意思を伝えたい場合
不運にして、若くても事故や事件に巻き込まれて生活が一変してしまう可能性もありますが、年齢に関係なく、自分がいなくなった時に周りの人へ伝えておきたいことは、キチンと文字で残しておいた方がいいですね。
ライフログを残しておくという意味で、日記や手帳にメモをするのがおすすめです。
ただ毎日きっちりと書き記す必要はありません。
感情が動いたとき、日々の生活にちょっとした心配を感じた時、また後の人生を決めるような出来ごとがあった時など、その時にどうしたいか、どんな事を考えて周りの人には何を望んだかを記しておきます。
すると、これをみた近しい人が、自分の思いを尊重して物事を勧めてくれるかもしれません。全てが生前思った通りにならなかったとしても、その気持ちは理解し汲んでもらえるでしょう。
前述した後見人制度では、死後の財産処分などを指示することが出来ません。
生前の遺産分割や放棄は認められないので、ここは遺書という形で形式に沿って記しておきましょう。
特に、一定以上の資産をお持ちの方や、没後管理をお願いしたい人がいる方は、残された親族が不毛な争いを起こさないようにするために遺書を作成しておくことをおすすめします。
自分らしい終わりを考える
自分らしさは、何も生きている時だけに限りません。
あなたにゆかりのある故人を思い出した時、例えば「あの人は海が好きな人だったな」や「いつも誰かと笑顔で話していたチャーミングな人だったな」と振り返ることがあるでしょう。
自分がこの世から去った後も、周りの人たちには思い出やエピソードとして記憶に残ります。そして、
「穏やかにお見送りができるお葬式だったね」「散骨を願っていたとはあの人らしいね」「山登りが好きな人だったから山寺にお任せしたけど、きっと喜んでいるはず」
こんなふうに、生前の姿だけはなく、弔われ方にもその人らしさが現れるくらい選択肢が増えてきました。
墓守を任せる親族がいない、子どもにその後ずっと墓守をさせるのはかわいそうだ、という理由から、納骨堂の利用を希望する人が急増しています。
墓地が全国的に少なくなっているという問題もあって、墓石不要、管理が行き届いた室内の納骨堂ニーズが高まっているようです。
海洋散骨も注目されています。お墓を持たない選択です。いまでは、亡くなる方の1%(1.4万人)~5%(7万人)が海洋散骨を選んでいます。
遺族はまず「家墓の有る無し」から弔い方を考え始めます。家墓があればその次に「元がだれの墓か・そこに納骨するのか」を考えます。
ただ、ここから始まる樹形図のような選択は、一つ一つの答えがとてもデリケートでカンタンに勧められるものではありません。
しかも、その選択を進めていくのは本人ではなく、本人にゆかりの深い人たち願いや、金銭的問題、人間関係などがとっても複雑にからみ合っていくために、親族関係のこじれや仲違いがおこる元になるのです。
自分が現世から居なくなった後も、関わったすべての人が仲良く過ごせるように。そのためには、日ごろから、先の将来のこととして自分の弔われ方を気軽に相談できるようにしておきましょう。