別府湾でお見送り海洋散骨を行いました。
この日の海は、波がほとんどない「べた凪」。船の上でゆっくりと故人を見送ることができる天候でした。
今回お申し込みくださったのは、茨城県にお住まいの54歳の長男さんです。見送るのは、大分県出身のお父様でした。
茨城から、お父様の故郷・大分へ
船に乗ったのは6名。
施主である長男さんのほか、53歳の次男さん、54歳の娘さんと57歳のご主人、そして故人の88歳と82歳のご兄妹さんです。
お子さんだけでなく、高齢のごきょうだいも一緒に船へ乗り、お見送りに加わりました。
茨城県で暮らしている長男さんにとって、大分は離れた場所です。それでも、お父様のご遺骨を故郷へ連れて帰り、親族と一緒に見送ることを選ばれました。
港に集まった15名の親族
出港前の港には、親族15名が集まりました。
乗船するのは6名ですが、船に乗らない方々も、お父様を見送るために港まで来られていました。
皆さんで日本酒を手にして献杯。その後、神道式でお見送りの儀式が行われました。
海へ出る前に、故人を囲むように親族が集まり、一緒にお酒を手向ける。その時間も、今回のお見送りの大切な一部でした。
儀式を終えると、6名を乗せて別府湾へ出港しました。
花と榊、日本酒を別府湾へ
散骨場所に着いてから、ご遺骨とともに花、日本酒、榊を海へ手向けました。榊は神道式ですね。
花と榊は、波のない海の上をゆっくりと漂っていました。
そして、もう一つ用意されていたものがあります。
ビールです。
お父様は、生前、ビールが大好きだったそうです。ご家族は、そのビールも別府湾へ手向けました。
この日のために特別な言葉を用意したわけではありません。それでも、故人が好きだったものを家族が覚えていて、最後のお見送りに持ってくる。その事実に、ご家族とお父様との普段の関係が表れているように感じました。
静かな海へビールが注がれていく場面は、今回の海洋散骨で特に印象に残っています。残された家族と故人の節目となるお別れになったことでしょう。
親族が故郷に集まった一日
今回は、海洋散骨のために親族が大分へ集まりました。
故人を見送る一日であると同時に、ごきょうだいや子どもたちが一緒に移動し、同じ時間を過ごす、ちょっとした親族旅行にもなりました。
港で日本酒を手にした15名の親族。船に乗って別府湾まで見送った6名のご家族。そして海へ手向けられた花と榊、日本酒、ビール。
大分で生まれたお父様は、ご家族やごきょうだいに見送られ、故郷の海へ還られました。
海に注がれた、お父様の好きだったビール。
その場面を、私はこれからも覚えていると思います。

