ある日、当協会に一本のお電話がありました。
「中津市に住んでいるのですが、海洋散骨のことで相談したくて…」
声の主は、70代のご夫婦でした。お話を伺うと、亡くなったお母さまのご遺骨を、自宅で大切に保管しておられるとのこと。
「母は生前から“お墓には入らなくていい。海に還してほしい”と、よく言っていたんです」
その言葉を叶えるため、代行での海洋散骨を決意されたそうです。
■ 出張で遺骨をお預かりに
ご高齢ということもあり、ご夫婦は「出張で遺骨を引き取りに来てほしい」とご希望されました。
当協会では、ご希望に応じてご自宅まで伺う対応も行っており、今回は中津市のご自宅まで車でお伺いしました。
ご自宅の仏壇には、優しい笑顔のお母さまの遺影と、丁寧に包まれた白い骨壷。
「毎日、母に“もうすぐ海に行けるよ”って話しかけていたんです」
そんな言葉が、とても印象に残りました。
■ 海洋散骨という母の選択
お母さまは、昔から海が好きだったそうです。
「若い頃、浜辺で貝殻を拾っていた話を、何度も聞きました」
また、年齢を重ねるごとに「お墓を作っても、誰が見てくれるか分からない。だったら海に還る方がいい」と周囲に語っていたとのこと。
このように“自らの供養”を考え、生前に意志を示していたお母さまの想いに、ご家族がしっかり応えた形となりました。
■ 遺された家族の安心と納得
ご夫婦は、「本当は船に乗って見送りたかった」と話しておられましたが、健康面や距離の都合から、代行散骨という形を選ばれました。
「私たちの代わりに、きちんと見送ってもらえるなら、それで十分です」
後日、散骨証明書を郵送にてお届けしました。
■ 墓がなくても、祈れる場所がある
「お墓を持たなくても、気持ちさえあれば供養はできる」
そう話してくださったご主人の言葉は、これからの供養の在り方を象徴しているように思えました。
どこかに固定された墓標ではなく“自然な形”——それが、海洋散骨の持つ力かもしれません。
お母さまの遺骨は、豊かな大分の海へと還りました。
海洋散骨は、形式に縛られない“想いを叶える供養”として、今、大分県でも確かな広がりを見せています。
ご自身の終活として、また大切な家族を見送る選択肢として、ぜひ一度考えてみてはいかがでしょうか?
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